お子さんが不登校状態にある場合や不登校になってしまった場合に、どのように対処すればよいのか、不安や悩みを抱えていることでしょう。
不登校特例校とは、そんなお子さんたちが特例的に通うことができる制度です。
しかし、そのメリットやデメリットを十分に理解していないと、本当に自分やお子さんに適しているのかどうか、判断することは難しいでしょう。
この記事では、不登校特例校のメリットやデメリットについて解説するとともに、フリースクールとの違いについても紹介します。
お子さんの未来のために、ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
1.不登校特例校のメリットについて
不登校特例校には、通常の学校にはないメリットがあります。
不登校特例校のメリットについて、具体的に解説していきます。
不登校特例校のことを知ることで、お子さんに合った学校選びができ、彼らの未来をより良くするための選択肢が増えることでしょう。
1-1.不登校に理解のある教師が多い
不登校特例校には、不登校に対する理解が深い教師が多く在籍しています。
これは、通常の学校に比べて、不登校生徒が多く集まっているためです。
そのため、教師は日々、不登校生徒の個性や状況に配慮しながら授業を進めていく必要があります。
具体的には、以下のような特徴があります。
個別に対応してくれる
不登校生徒は、様々な理由から学校に行くことができない場合があります。
そのため、教師は個々の生徒に対して、その理由や状況を把握し、それに応じた対応を行います。
例えば、家庭学習を勧めたり、学校に行くきっかけを作るために外出活動を行ったりすることがあります。
学校と家庭との連携が密接
不登校生徒は、自宅で学習を進めることが多いため、家庭と学校の連携が重要になります。
不登校特例校では、家庭学習を進めるためのアドバイスや支援を行い、家庭学習に必要な教材や情報を提供しています。
また、定期的に保護者面談を行うことで、家庭とのコミュニケーションを密にしています。
カウンセリングや心理支援が充実
不登校生徒は、学校に行けないという状況から、様々なストレスを抱えている場合があります。
不登校特例校では、カウンセリングや心理支援を充実させ、生徒のメンタルケアに力を入れています。
不登校に理解のある教師が多いことで、生徒が学校に行けるようになるきっかけを作ったり、生徒の個性や状況に合わせた教育を提供したりすることができます。
生徒と教師の信頼関係が築かれることで、生徒の学習意欲が高まり、学校に通えるようになるケースもあります。
1-2.クラス編成や授業の形式の柔軟性が高い
不登校特例校には、通常の学校とは異なる柔軟性があることがメリットとして挙げられます。
具体的には、以下のような点があげられます。
- クラス編成が柔軟:一般的な学校では、年齢や学年に基づいたクラス編成が行われますが、不登校特例校では、学力や興味関心に基づいたクラス編成が可能です。
- 授業の形式が柔軟:不登校特例校では、従来の授業形式にとらわれず、個別学習や自習室の利用、先生が選べる授業やオンライン授業など様々な授業形式が用意されています。
これらの柔軟な取り組みは、生徒一人ひとりの個性を尊重し、自己実現や自己肯定感を高めることにつながるとされています。
また、授業の形式が多様であるため、自分に合った学び方を見つけることができる可能性も高いです。
1-3.卒業証書や進路書類が発行される
不登校特例校は、在籍期間中に必要な科目を履修し、卒業要件を満たすことで、卒業証書や進路書類を発行してもらえることがメリットの一つと言えます。
普通の学校に通っているのと同じように卒業証書や進路書類が手に入るというのは不登校の子供の将来を考えると安心できるポイントになります。
2.不登校特例校のデメリットについて
不登校特例校にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
本章では、不登校特例校におけるデメリットについて詳しく解説します。
デメリットを知っておくことで、より適切な選択ができるようになるでしょう。
2-1.学校数が10都道府県・21校と少ない
不登校特例校は、全国に10都道府県・21校しかなく、その数が極めて少ないというデメリットがあります。
そのため、生徒が希望する学校が遠くて通学が困難だったり、定員が限られていたりする場合があります。
また、特例校で提供される授業やカリキュラムが、生徒の進路に適しているかどうかを考慮する必要があります。
生徒の将来の進路に合わせたカリキュラムを提供していない場合、生徒の進路に影響を与える可能性があるため、よく調べて選択する必要があります。
2-2.学校ごとに特徴が異なるのでよく調べる必要がある
不登校特例校は、地域によって学校数が限られているため、その中から選択することになります。
そのため、不登校特例校を選択する場合は、学校ごとの特徴や教育方針を十分に調べる必要があります。
それぞれの特徴に合わせて、自分に合った学校を選択することが重要です。
また、学校の情報収集には、インターネットやパンフレットだけでなく、学校説明会や体験入学なども活用すると良いでしょう。
適切な学校選びを行うことで、不登校特例校での学習がスムーズに進み、自分に合った学び方を見つけることができるようになると考えられます。
2-3.総授業時間数が少なく高校受験には勉強量が足らなくなる恐れがある
不登校特例校には総授業時間数が少ないというデメリットがあります。
一般的な学校の授業時間数が約1000時間程度であるのに対して、特例校の授業時間数はおよそ700~800時間となっています。
そのため、高校受験に対して不利になるという意見があります。
このため、高校受験を目指す場合は、個人での勉強や予備校などでの補完が必要となります。
授業時間数が少ないという点はあくまでもデメリットの一つではありますが、その裏返しには柔軟な学習スタイルや自主性を重視する教育があることも忘れてはなりません。
3.不登校特例校とフリースクールの違いは何なのか解説
不登校特例校とフリースクールは、共に不登校児童・生徒の教育に取り組む施設ですが、違いがあります。
そのため、どちらを選ぶかは個人の状況や希望によって異なります。
この章では、不登校特例校とフリースクールの主な違いについて詳しく解説します。
3-1.学校の本籍が移るか移らないか
不登校特例校とフリースクールの大きな違いの1つは、転校に伴う本籍の移動の有無です。
不登校特例校に転入する場合、転入先の学校の所在地に本籍が移動することになります。
一方、フリースクールは定期的な出席報告を行い、学校の在籍が元のままで、本籍の移動はありません。
これは、両者が扱う学生の状況が異なるためです。
不登校特例校は、学校に通えなくなってしまった生徒に対して、教育を提供するための特別な学校です。
一方、フリースクールは、通常の学校にはなじめなかったり、個別の理由によって、学校に通うことが難しい生徒に対して、柔軟で個別に対応した教育を提供することを目的としています。
3-2.卒業証書や進路書類が発行されるかされないかい
不登校特例校とフリースクールのもう一つの違いは、卒業証書や進路書類の発行に関することです。
不登校特例校は、文部科学省が認定する教育施設のため、高校等への進学や就職活動などで必要な卒業証書や進路書類を発行することができます。
一方、フリースクールは、教育委員会の許可を得て個人や団体が設立する学校であるため、卒業証書や進路書類を発行することができない場合があります。
この違いは、不登校特例校が学校教育法に基づく教育施設であるのに対し、フリースクールは非公式な教育施設であるという点によるものです。
不登校特例校であれば、通常の中学校や高校と同様に、学習指導要領に基づいた教育を受けることができます。
そのため、卒業証書や進路書類を発行することができます。
一方、フリースクールは、独自の教育プログラムを設けている場合があり、通常の学校教育に基づく教育を受けていない場合があります。
そのため、卒業証書や進路書類を発行できない場合があります。
ただし、フリースクールでも学校教育法に基づく教育を行っている場合は、卒業証書や進路書類を発行することができる場合があります。
このように、不登校特例校とフリースクールは、教育内容や教育方法、卒業証書や進路書類の発行など、いくつかの違いがあります。
それぞれの特徴を把握して、自分に合った教育施設を選ぶことが大切です。
3.不登校特例校とフリースクールの違いは何なのか解説
不登校特例校とは、不登校の生徒に対して教育機会を提供する特別な学校であり、フリースクールとは異なる点があります。
・不登校特例校のメリット
- 義務教育修了証明書が発行され、高校進学や就職活動に必要な資格が取得できる。
- 教育カリキュラムが定められているため、無駄な時間がなく、効率的に学習が進められる。
- 専門的なカウンセリングが受けられ、学校復帰への道筋が立てられる。
・不登校特例校のデメリット
- 総授業時間数が少なく、高校受験に不利になる場合がある
- 学校ごとに特色が異なるため、事前によく調べる必要がある
・フリースクールとの違い
- 不登校特例校では転校になる本籍が移るが、フリースクールでは学校の在籍が元のままである。
- 不登校特例校では卒業証書や進路書類が発行されるが、フリースクールでは発行できない。
以上が、不登校特例校とフリースクールの違いやメリット・デメリットについてのまとめです。
選択肢として検討する場合には、個々の状況に合わせてよく検討し、最適な選択をするようにしましょう。