不登校は、子供の成長過程において起こりうる現象の一つですが、その原因や解決方法は人それぞれ異なります。
中でも回復期は非常に重要な局面であり、この時期を見逃すと不登校を抜け出すのが難しくなります。
そこで本記事では、不登校の回復期について詳しく解説します。
具体的には、回復期のサインや親が気をつけるべきポイントについて紹介します。
また、この記事を読むことで、不登校の回復期について理解を深め、子供の健やかな成長につながる情報を得ることができます。
不登校に悩む親御さんや支援者の方々は、ぜひ最後までお読みください。
1.不登校の回復期とは?
不登校の回復期については、医学的な定義はなく、子供の活力がわいてきて、自分から行動するようになるタイミングとされています。
この回復期には定義や決まりがなく、一般的には3ヶ月から1年程度とされていますが、子供が不登校になった要因や本人の回復力によっても、回復にかかる時間に差があります。
親や周りの大人は、それぞれ回復期には差があると理解して関わる必要があります。
回復期に子供が外出を試みたり、勉強に意欲的になったりと自分から行動する活力が出てくるため、親は子供の変化に気づきやすくなるとされています。
一方、不登校の回復期に入ると、気持ちが前向きになって学校に興味を示したり時間の使い方を考えたりするようになる時が訪れます。
また、回復期に子供が自分から行動するようになることで、自分が想定しない事態が起きた時に、じっと耐えるのではなく回復させることが強い心を作る方法のひとつだとされています。
2.不登校から回復までの3つのステップ
「不登校」とは、学校に通わずに自宅にいることを指します。
不登校には、様々な原因がありますが、多くの場合は学校に行くことに対する恐怖感やストレス、対人関係の問題が原因とされています。
不登校は、家族や周りの人たちにとっても大きな心配や負担となります。
しかし、不登校からの回復には時間がかかることが多く、一人で解決することは難しいと言われています。
そこで、この章では不登校から回復までの3つのステップを紹介します。
2-1.不登校開始期
不登校開始期は、何らかのきっかけで学校に行きにくくなる時期です。
頭痛や腹痛が出現することもあります。
また、遅刻や早退、欠席が増えて不登校に移行していくことが多いです。
この時期の子供は、自分自身が何かしらの不安感を抱えている場合が多く、それによって学校に行くことができなくなってしまうことがあります。
親もこの時期は、子供の様子に混乱し焦りを感じることが多いです。
この期間は、親が子供に対して急に厳しい言葉を投げかけたり、注意をしすぎることが逆効果となる場合があるため、コミュニケーションをとることが大切です。
普段の何気ない会話から、子供が話しやすい雰囲気を作ってあげることが必要です。
不登校開始期は2、3ヶ月程度とされていますが、うまく対処できない場合は1年以上続くこともあるため、早めの対応が必要です。
親が子供の気持ちに理解を示し、共感を持って接することが、子供の回復につながります。
2-2.引きこもり期
引きこもり期は、不登校開始期から続く期間であり、子供は学校へ行かずに家で多くの時間を過ごします。
この期間には、ゲームなどにのめりこんで昼夜逆転生活となることも多く、休息が必要な時期でもあります。
親は、子供に対して無理な言葉がけをすることなく、見守りながら支援することが重要です。
この期間は外出することが難しい時期でもあるため、親が焦って子供を追い詰めないよう注意が必要です。
しかし、放置することも避けなければならないため、親は根気よく対話を続け、子供の自立心を育てるよう心がけましょう。
引きこもり期が終わるまでには長い時間がかかるため、あきらめずに子供と向き合うことが大切です。
2-3.回復期
「回復期」は、不登校から抜け出すための最初の行動が見られる時期です。
子供自身が自分の意思で外に向かい、外の世界への関心が具体的になります。
将来の夢や学校への復帰について自ら語り、自信を持って行動するようになります。
親は、子供の言葉に共感することが大切です。
親からの共感によって子供は自分の意見に自信を持ち、相手へ発信することへの抵抗感を減らせます。
また、大人からのメッセージも受け取れるようになるため、「私はこう思う」とメッセージを伝えることが良いでしょう。
しかし、子供は勢いよく前に進むとガス欠を起こすことがあります。
疲れているときには無理をせずに休養を促しましょう。
回復期は、心が落ち着き、多少周囲に興味を持ち始める時期でもあります。
しかし、何事も一気にせずに休みながらを意識することが重要です。
親と子供が寄り添える環境を整え、子供が自分のペースで行動できるようにサポートすることが大切です。
3.回復期の子どもによく見られる5つのサイン
回復期の子どもによく見られる5つのサインについて知っておくことは、子育てにおいて非常に重要です。
この章では、回復期の子どもたちが示す5つの兆候を詳しく説明します。
それぞれのサインについてどのように対処すればよいかについてもアドバイスをしていきます。
回復期は子供にとって非常に大切な時期であり、親としてもしっかりサポートしてあげたいものです。
3-1.会話の回数が増える
回復期に入ると、子供たちは自分自身に興味を持つようになり、自分の内面について話したがります。
会話の回数が増えることは、回復期の子供たちが親や家族とのコミュニケーションを回復していることを示しています。
親は、子供たちと積極的にコミュニケーションをとり、子供たちが話したいことに耳を傾けることが重要です。
例えば、以下のような会話が増えるでしょう。
- 学校での友達や先生との出来事について話す
- 趣味や興味を持つことについて話す
- 自分自身についての考えや感情を話す
親が子供たちと共感することで、子供たちは自分の意見に自信を持ち、より積極的に自己表現することができます。
親が日常生活のなかで、子供たちと対等なコミュニケーションをとり、関心を持って聞くことが大切です。
3-2.外出の回数が増える
回復期に入ると、子供たちは自分自身の世界を広げるために外出することを好むようになります。
具体的には、友達との外出やスポーツクラブや習い事に参加することが多くなるでしょう。
また、学校に通い始める子供は、学校生活以外の場所にも積極的に出かけようとするようになります。
この外出が増えることによって、子供たちは新しい体験をすることができ、自己肯定感や自信を持つことができます。
また、外出を通じて社会性やコミュニケーション能力を養うことができ、自分の居場所や役割を見つけることができます。
ただし、外出が増えたからといって、全ての子供が同じペースで外出できるわけではありません。
一度に大勢の人と接するのが苦手な子供もいるため、少人数での外出や家族との時間を重視する子供もいます。
親は子供たちのペースに合わせ、ゆっくりと外出の機会を提供するようにしましょう。
3-3.学校や進路についての話が出てくる
回復期の子どもは、病気やケガの経験を通じて、人生の重要性や目的について深く考えるようになることがあります。
そのため、学校や進路についての話が出てくることがあります。
具体的には、以下のようなサインが見られます。
- 学校や進路について積極的に話し始める。
- 学校での勉強や友達との関係、将来の進路について考えるようになる。
- 将来の夢や目標について話すようになる。
- 学校に行くことや学校での成績に対して、以前よりも興味を示すようになる。
- 進路選択について親や先生に相談するようになる。
こうしたサインが見られた場合には、子どもが回復期に入っていることを示している可能性があります。
親や周りの大人たちは、子どもの興味や関心を尊重し、必要に応じてサポートをすることが大切です。
3-4.暇を訴えかけるようになる
不登校の子どもにとって暇を持て余す時間があったとしても、活動することができませんでした。
しかし回復期に入ると、エネルギーが有り余っている状態になります。
この状態が続くと、子どもたちは興味を持つことや、楽しいことを見つけるために、アクティビティを開始することができます。
子どもたちが暇を持て余しているという兆候は、回復期に入ったことを示しています。
この状態が続くと、子どもたちは興味を持つことや、楽しいことを見つけるために、アクティビティを開始することができます。
暇を訴えかけることがある場合、以下のようなアクティビティを提案することができます。
- スポーツクラブや音楽教室など、趣味を持てる場所を見つける
- 友達と一緒に過ごす時間を増やす
- 本を読む、映画を見るなど、興味を持てるものを見つける
回復期に入ると、子どもたちは自信を持って、新しいことに挑戦したり、自分に合った趣味を見つけたりすることができます。
暇を持て余しているという兆候は、子どもたちがポジティブな状態にあることを示しています。
3-5.自主的に勉強をする
回復期にある子どもたちは、自主的に勉強をすることがあります。
これは不登校によって遅れてしまった学習内容を取り戻すために自発的に学習に取り組もうとする兆候としても捉えられます。
自主的に勉強することで、子どもたちは自信をつけ、自分で学ぶ力や、学習への意欲を高めることができます。
例えば、数学の苦手意識を持っていた不登校の子どもが回復期になり、自主的に数学の勉強を始めるようになることがあります。
その子どもたちは、徐々に数学の難易度が上がっても自分で問題を解決しようと努力するようになり、自信をつけていきます。
また、自主的な勉強とは、学校での授業だけではなく、趣味や興味がある分野についても積極的に取り組んでいくことを意味します。
例えば、コンピューターゲームが好きな子どもが、プログラミングを学び始めることもあります。
自分の興味や好きなことに自発的に取り組むことで、子どもたちは自己実現のための道を見出し、充実した生活を送ることができます。
4.回復期に親が気をつけるべきポイント
子どもが不登校から回復期に入り、前向きに動き始めると、親にはうれしさやホッとした気持ちが湧いてくるものです。
しかし、子どもの回復はまだ始まったばかりであり、親があわてて介入したり、過剰な期待を寄せたりすることで、かえって子どものプレッシャーになってしまうこともあります。
回復期には、子ども自身が主体的に行動することが大切であり、親はそうした子どもの行動を支える立場にあります。
本章では、回復期に親が気をつけるべきポイントについて解説します。
4-1.親は焦らない。
焦って先回りしてあれこれ手を出すのは良くない
子どもが不登校から回復し、学校に通い始めた際、親がやるべきことは多くあります。
しかし、焦ってあれこれ手を出すのは避けるべきです。
焦ると、子どもにとって余計なストレスとなってしまい、回復に悪影響を与える可能性があります。
親ができることは、子どもをサポートすることであり、子ども自身が回復するプロセスを尊重することです。
具体的には、以下のような点に注意することが重要です。
- 子どものペースに合わせて、ゆっくりと進めること。
- 子どもに対して過剰に期待しないこと。
- 子どもに対して、自分でできることを信じ、自己肯定感を高めること。
- 子どもにとって負担となることを避けること。
- 子どもと一緒に、進路や将来についての話をすること。
不登校から回復した子どもは、まだ不安定な状態にあるため、親が冷静に対応することが求められます。
焦らず、子ども自身が回復するために必要な環境を整え、子どものペースに合わせて進めることが重要です。
4-2.良い変化に対して過剰に褒めたり喜んだりしない
回復期にある子どもが良い変化を見せることは非常に喜ばしいことですが、親が過剰に褒めたり喜んだりすることは控えるべきです。
なぜなら、過剰な褒め言葉は、子どもたちが自分自身と向き合うための時間を奪ってしまいます。
また、褒め言葉が過剰になると、子どもたちは親の期待に答えようとすることがあります。
それは、子どもたちが自分自身を偽り、本当の自分を見失ってしまうことにつながります。
親が適度に褒めるには、以下の点に留意することが重要です。
- 比較ではなく、改善点や頑張りにフォーカスする
- 適度なタイミングで褒める
- 褒め言葉の言い方に気をつける
親が自然なタイミングで子どもたちを褒め、自分自身を肯定することができるようになれば、子どもたちは自信を持ち、回復期にある自分自身を肯定することができます。
まとめ
不登校の子供が回復期に入る際、親は以下の5つのサインに注意する必要があります。
- 家族とのコミュニケーションが増える
- 外出する回数は増える
- 学校や進路についての話が出てくる
- 暇を訴えかけるようになる
- 自主的に勉強をする
また、親が回復期に気をつけるべきポイントとしては、以下の2つがあります。
- 焦らない
- 良い変化に対して過剰に褒めたり喜んだりしない
回復期の子供の様子に注意しながら、適切なサポートを提供し、子供が自分のペースで学校生活に復帰できるように努めましょう。