不登校は、子どもや家族を取り巻く重大な問題の1つです。
不登校に陥った子どもたちは、その理由や状況によってさまざまな段階を経験することがあります。
この記事では、不登校の7段階について詳しく解説します。
1.不登校の7段階のそれぞれの段階について解説
不登校の7段階は以下の7つの段階に分かれます。
- 不登校開始期
- 悩み苦しむ時期
- エネルギー補充期
- エネルギー再活性期
- 再活動希望期
- リハビリ期
- 完全登校期
1-1.不登校の第1段階:不登校開始期
不登校開始期は、子どもが学校に行くことに対して頭では行くべきだと思っている一方、身体的な抵抗感や拒絶感を感じる時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- 頭では「学校に行かなければいけない」とわかっているが、どうしても行く気になれない。
- 学校への行く意欲と現実の抵抗感の間に葛藤がある。
具体例:
- 学校への出席が減り、欠席が増える。
- 朝になると、学校に行くことに対して不安や恐怖感が募り、身体的な症状(頭痛、吐き気など)が現れる。
- 学校に行くと決めても、実際に出かける前に泣き出したり、抵抗感を示すことがある。
この段階では、子どもの内面的な葛藤や抵抗感に対して理解を示し、受け入れることが重要です。
親や教育関係者は、子どもの感情に寄り添い、コミュニケーションを通じて支えることが必要です。
また、カウンセリングや心理的なサポートを受けることも有益です。
1-2.不登校の第2段階:悩み苦しむ時期
悩み苦しむ時期は、不登校による苦悶や心の葛藤が最も顕著になる時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- 学校に行くことによる苦悩や心理的な負担が増し、感情の爆発や怒りの発散が見られる。
- 悩みや困難に直面し、内面的な葛藤を抱えることが多い。
具体例:
- 学校に行くことによって起こる不安や恐怖感により、怒りやイライラが爆発することがある。
- 学校での人間関係や学業へのプレッシャーに対して、感情のコントロールが難しくなる。
- 自己肯定感の低下やうつ状態の傾向が現れる。
この段階では、子どもが自身の感情や苦悩を表現できる安全な環境を提供することが重要です。
親や教育関係者は、子どもの感情を受け止め、共感し支えることが必要です。
また、心理カウンセリングやグループセラピーなどの専門的な支援も有益です。
子ども自身が感情を発散するための方法を学ぶことや、ストレス管理のスキルを身につけることも重要です。
1-3.不登校の第3段階:エネルギー補充期
エネルギー補充期は、不登校に伴う疲労や精神的な負担から回復するための時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- 疲れや心的ストレスを解消するために、一日中寝ることや休息を取ることが多い。
- 部屋を真っ暗にしてこもる傾向がある。
具体例:
- 不登校による疲労やストレスから回復するために、長時間の睡眠をとることが多い。
- 自分の部屋を真っ暗にして過ごし、外部の刺激から遮断することでリラックスを図る。
この段階では、子どもが自己のペースで身体と心を回復できる環境を提供することが重要です。
親や家族は、子どもの休息やリラックスを尊重し、プレッシャーや期待をかけすぎないことが必要です。
また、適度な身体活動や食事、睡眠の習慣を整えることも支援に役立ちます。
子どもが自然なペースでエネルギーを回復できることで、次の段階への移行がスムーズになります。
1-4.不登校の第4段階:エネルギー再活性期
エネルギー再活性期は、不登校からの回復を感じ始め、積極的な活動に取り組む時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- エネルギーが回復し、自身の興味や関心のあることに取り組む意欲が高まる。
- 昼夜のリズムが逆転して、夜型の生活が見られる。
具体例:
- 自分の好きなことに時間やエネルギーを注ぎ始める。例えば、趣味の習い事や創作活動、読書など。
- 夜遅くまで起きていて、朝は遅く起きる生活リズムをとるようになる。
- 不登校期間中に溜まったやりたいことを実現するために、計画的に行動を始める。
この段階では、子どもの興味や関心に寄り添い、積極的な活動をサポートすることが重要です。
親や教育関係者は、子どもの意欲を引き出すために、彼らが関心を持つ活動やサポートを提案することが有益です。
また、健康的な生活リズムを促すために、規則正しい睡眠スケジュールやバランスのとれた食事を導入することも大切です。
子どもが自己の興味に向かって積極的に活動できることで、自信と成就感を得ることができます。
1-5.不登校の第5段階:再活動希望期
再活動希望期は、不登校からの回復が進み、再び活動への意欲が高まる時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- 自身の時間や余裕を感じ、活動することへの意欲が高まる。
- 「ひまだなぁ」といった発言や、具体的な活動の提案が見られる。
具体例:
- 自分の興味や関心に基づいて、新たな活動やプロジェクトに取り組もうとする意欲が高まる。
- 「ひまだなぁ」と発言しながら、自分のやりたいことを考えたり、計画を立てたりする。
- 家族や友人との交流や外出を楽しみにするようになる。
この段階では、子どもの自主性と創造性を促進することが重要です。
親や教育関係者は、子どもの活動への意欲をサポートし、具体的な計画や目標を立てる手助けをすることが有益です。
以下は、サポートの方法の例です。
- 子どもの興味や関心に基づいて、一緒に新たな活動やプロジェクトを考える。
- 目標設定やスケジュール管理のサポートを行い、計画を具体化する。
- 応援や賛同の言葉をかけ、子どもの自信を育てる。
子どもが自分の意欲に従って活動できる環境を提供し、自己成長と達成感を促進することで、再活動の喜びを実感することができます。
1-6.不登校の第6段階:リハビリ期
リハビリ期は、不登校からの回復が進み、実際の活動を開始する時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を示します。
特徴:
- 不登校期間に蓄積した力を活かし、実際の活動を始める意欲が高まる。
- 休みながら進めるスタイルが見られる。一度に大きな負荷をかけるのではなく、徐々に活動を増やしていく。
具体例:
- 学校への復帰に向けて、学習のリハビリを開始する。一部の授業から参加したり、個別の補習を受けたりする。
- 部活動やクラブ活動に再参加し、少しずつ活動の範囲を広げる。
- 家族や友人との外出や社会的なイベントに参加しながら、社会とのつながりを再構築していく。
リハビリ期は、徐々に活動の範囲を広げながら、社会的な関わりや学習のリズムを取り戻していく大切な時期です。
以下は、サポートの方法の例です。
- 学校や教育関係者と連携し、学習や学校生活への復帰を支援する。
- 活動のスケジュールや負荷を段階的に調整し、無理のない進行を促す。
- 応援や励ましの言葉をかけながら、子どもの成長を見守る。
リハビリ期は、子どもが自己のペースで活動しながら徐々に回復していく重要な過程です。
適切なサポートを提供し、子どもの自信と自主性を育むことで、より確かな成果を得ることができます。
1-7.不登校の第7段階:完全登校期
第7段階の完全登校期は、不登校からの克服が達成され、安定して登校できるようになり、社会との関わりを持ちながら生活していく時期です。
以下に、この段階の特徴と具体例を紹介します。
特徴:
- 学校への完全な登校が可能であり、ほぼ毎日学校に通うことができる。
- 学校での授業や活動に積極的に参加し、社会との関わりを深める。
- 学業や人間関係において、安定感があり自信を持って取り組むことができる。
具体例:
- 完全登校が実現し、欠席や遅刻がほとんどなくなる。
- 学校の授業に常に参加し、積極的に質問や発言をする。
- クラブ活動や学校行事に積極的に参加し、友人とのつながりを深める。
- 学習や成績が安定し、学校の進度に遅れることなく追いつくことができる。
完全登校期では、子どもが学校生活において安定感と自信を持ちながら、社会との関わりを築いていきます。
以下は、この期間におけるサポートのポイントです。
- 定期的な面談や連絡を通じて、学校との連携を図る。
- 学校のサポート体制やカウンセリングを活用し、適切な支援を受ける。
- 学業や社会活動において困難が生じた場合には、適切なアドバイスや手助けを提供する。
完全登校期は、子どもが不登校からの困難を克服し、安定した学校生活を送ることができる重要な過程です。
適切なサポートを継続し、子どもの成長と自立を支えることが求められます。
2.不登校の7段階を判断するときの注意点
不登校の状態は、7つの段階に分類されることがありますが、この段階を判断することは容易なことではありません。
それには、状態を正確に理解し、注意深く観察する必要があります。
そこで、本章では不登校の7段階と、その判断に必要な注意点について解説していきます。
2-1.段階を飛ばすことがある
不登校の7段階を判断する際には、注意が必要なポイントがあります。
1つは、段階を飛ばしてしまう可能性です。
不登校の状態は複雑で、必ずしも段階を順番に経るわけではありません。
例えば、最初の段階から直接最終段階に進んでしまうこともあります。
これは、個々の状況や個性によって異なるため、一律には判断できません。
個別の状況をよく観察し、状態の変化を把握することが重要です。
具体的な例として、エネルギー補充期から急に再活動希望期に進む場合があります。
このような状況では、サポートやケアのアプローチも適切に変化させる必要があります。
段階を飛ばす可能性に対処するためには、常にコミュニケーションを保ち、信頼関係を築くことが重要です。
本人や関係者との対話を通じて、状態の変化やニーズを把握し、適切なサポートを提供することが求められます。
2-2.前の段階に戻ることもある
不登校の7段階を判断する際には、注意が必要なポイントがあります。
その中でも1つは、前の段階に戻る可能性があることです。
不登校のプロセスは個人によって異なるため、進むべき段階が一方向に限定されるわけではありません。
例えば、一時的に活動的になっていた人が再びエネルギー補充期に戻ることがあるかもしれません。
このような状況では、様々な要因が関与していることが考えられます。
学校環境や人間関係の変化、内面的な問題への対処などが影響している可能性があります。
不登校の状態は一筋縄ではいかず、進捗が順調であっても、再発や段階の後戻りが起こることもあるのです。
不登校の7段階についてのまとめ
不登校の7段階について解説しました。
以下は重要なポイントです。
- 第1段階では「いかなくちゃ」と思う一方、身体は行きたくないと感じます。
- 第2段階では苦悶し、感情を発散するために暴れたり怒鳴ったりすることもあります。
- 第3段階ではエネルギー補充期であり、一日中寝たり部屋にこもることが特徴です。
- 第4段階ではエネルギー再活性期であり、好きなことに取り組む一方、昼夜逆転生活を送ることもあります。
- 第5段階では再活動を希望し、「ひまだなぁ」といった発言が出てきます。
- 第6段階ではリハビリ期であり、実際に活動を始めながら休みを取りながら進んでいきます。
- 第7段階では完全登校期であり、安定して登校できるようになり、社会との関わりを持ちながら生活できます。
不登校のプロセスは個人によって異なり、一方向に進むわけではありません。
一時的に進展があっても、再発や段階の後戻りが起こることもあります。
その場合には個別のサポートと継続的な関与が必要です。
不登校は複雑な問題ですが、段階的な理解と適切なサポートにより、学生が回復し、安定した登校生活を取り戻すことが可能です。